底地とは?

底地

最近、親から底地を相続した方から「そもそも底地ってなに!?」というご質問を多くいただきます。親が急に亡くなり、相続が発生して初めて底地という不動産の存在を知る…結構、増えているようですね。

底地は「貸宅地」と呼ばれることもあります。
底地(貸宅地)は、その名の通り、土地を宅地として貸している状態のことで、この土地の上には「借地権」という権利が付着しています。1つの土地に底地権という「持つ権利」と借地権という「使用・収益する権利」2つの権利が存在しているのです。

このように1つの土地に2つの権利が存在する底地(貸宅地)や借地権が全国の住宅に占める割合は、2%にも満たないとされていますので、底地をそもそも知らないという方が多くても、何ら不思議ではありません。

しかしながら、「底地を持っている」「底地を相続した」という方は、底地のことをきちんと理解しておかないと、将来大変なことになるかも知れませんので、先ずは底地のことをきちんと理解した上で、底地の管理・運用・相続対策などについて、正しい知識を身につけましょう。

1.底地(貸宅地)の成り立ち

底地(貸宅地)や借地権の歴史は古く、明治時代に遡ります。明治政府は財政を安定させるために、土地所有者に対し高額な税金を課しましたが、一般庶民に払える金額ではありませんでした。そこで土地を借りて建物を建てる、いわゆる借地権付建物が増えていったのです。
当時の法律では地主が借地権者を立ち退かせることも可能だったため、これが社会問題となり、明治42年に「建物保護に関する法律」が制定されました。この法律によって借地権者は建物の登記をすれば、地主に借地権者としての自分の権利を主張できるようになりました。次いで大正10年には(旧)借地法が制定され、借地権者の法的地位を安定させる流れが加速していきました。

2.(旧)借地法の概要

(旧)借地法によって、借地権は「建物の所有を目的とする地上権または賃借権」と定義されました。また、借地権の存続期間を建物の構造によって、20年以上または30年以上とすることや、契約の更新・建物の建て替え等の際には地主の承諾を得なければならないといった、現在に至る考え方の原型が形づくられました。
そして、太平洋戦争が目前に迫った昭和16年、土地を借りて生活拠点として暮らしている借地権者が、戦争が終わった後もそのまま生活を続けることが出来るように、地主が簡単に土地を明け渡してくれと言えない「正当事由」の導入という大きな法改正がなされます。これにより、地主が借地契約の更新を拒絶することは、ほぼ不可能となりました。この「正当事由」という制度は戦後も残り、今に至る「土地は貸したら返ってこない」という通例に繋がったのです。

3.底地(貸宅地)の特徴

次に底地(貸宅地)の特徴を、法的な側面と税的な側面からみてみましょう。

3-1.底地(貸宅地)の法的側面

現在、国内にある底地(貸宅地)の多くは、平成4年8月1日の新借地借家法施行前に借地権が設定されており、この場合は一部を除き(旧)借地法が適用されます。(旧)借地法は借り手保護の色彩が強く、地主にとっては「土地は貸したら返ってこない」状態が長く続き、自分の土地なのに自由な土地活用ができないというケースが多くみられます。
底地(貸宅地)を所有している地主は、土地を貸す対価として、借地権者から賃料(地代)を受け取っていますが、その金額は一般的な住宅地において固定資産税・都市計画税の3倍~5倍程度と、比較的安価となっています。

3-2.底地(貸宅地)の税的側面

過去に何度か、底地(貸宅地)は相続税評価が高すぎると、納税者が裁判で争ったことがありますが、原則として納税者の主張は認められていません。底地(貸宅地)はあくまで土地所有権ですので、他の土地と同様に固定資産税・都市計画税を支払わなければなりません。その上相続税評価が非常に高い割に、得られる収益(地代や更新料など)は低く、売却するとしても、結果的に売買価格が相続税評価を下回るなんてこともめずらしくありません。

4.まとめ

底地(貸宅地)を所有する上では、以下のポイントを押さえておきましょう。
〇相続税評価が非常に高く、相続発生時の納税負担が大きい
〇同じ土地の賃貸でも、一般的に駐車場などで貸すより極端に収益性が低い
〇底地(貸宅地)の管理は煩雑な上に知識・経験を必要とする。管理を委託するとしても、それを専門とする不動産会社は意外に少ない。

底地(貸宅地)の管理をおざなりにしていて、気付いたら地代を受け取っても、固定資産税・都市画税を支払ったらほとんど何も残らない状態になっていた、なんてことはよくある話です。
底地(貸宅地)の収支バランスを良くするためには、アパートなどの建物と同様に適切な管理が欠かせません。

また、底地(貸宅地)を巡っては、資産承継問題も顕在化しています。
親としては代々守ってきた大切な資産である底地(貸宅地)を子供たちに相続してもらいたいと思っている一方、相続する側の子供たちは相続税や管理などの重い負担を嫌がる、借地権者との人間関係にストレスを感じたりしているなんてことも少なくありません。

底地(貸宅地)の将来を考える際には、適切な管理が継続して可能か、資産承継が様々な角度から検証してみて可能かどうかが重要です。維持することが実質的に困難な場合は、残さずまとめて売却し、資産の組み換えを行なうことなどを検討してみるのもいいのではないでしょうか。

5.さいごに

弊社では、底地(貸宅地)をお持ちの方々の様々なニーズにお応えできるよう、底地(貸宅地)のコンサルティング・管理業務・借地権者との交渉サポートを含めた売買仲介・弊社での買取りと様々なサービスをご用意しております。ご相談は無料です。
底地(貸宅地)の専門家だからこそ分かること、解決できることがあります。
是非、お気軽にご相談ください!