古い賃貸アパート経営で悩んだ時の解決策と売却時の税金について解説
築古賃貸物件
古い賃貸アパートを経営する場合、売却した方がよいのか、ほかにも解決策はあるのかなど、悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。結論からいえば、不動産の状態や経営状況によって適切な解決策は異なります。また、たとえ売却すると決めても、思っている以上に税金が生じるケースも少なくありません。
今回の記事では、古い賃貸アパートでよくある悩みや考えられる解決策、売却時の注意点について詳しく解説します。
目次
1.こんなことに悩んでいませんか?
経営している賃貸アパートが古くなり、さまざまな問題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。ここではまず、古い賃貸アパート経営でよくある問題について4つご紹介します。
建物が古くなり劣化老朽化が目立つ
建物が古くなると、建物内外で修繕が必要となるケースが多く見受けられます。修繕コストもそれ相応に必要となるでしょう。建物の老朽化に伴うトラブルとしては、以下の4つが挙げられます。
雨漏りを発見した際は、まずどこから雨が漏れているのか早急に確認する必要があります。雨漏りを放置するとアパートの漏電を招く恐れがあるほか、廊下や天井をつたって他の部屋に被害が拡大するケースも少なくありません。速やかに業者へ連絡し、対処してもらうことが大切です。
このほかにも「耐震性の問題」については特に注意する必要があるでしょう。その理由として、建物の強度に対する基準が、建築年によって以下のように異なる点が挙げられます。
耐震性に対する基準が大幅に見直される前の(1981年よりも前5月31日以前)のアパートの場合、老朽化に対して修繕をするだけでは問題の解決に至りません。地震の際、建物の構造により崩壊する可能性もゼロではないため、その物件を保有し続けるのか否か、悩む人も多く見受けられます。1981年よりも前に建てられたアパートである場合、すでに建物が老朽化している恐れが高いことに加え、修繕にかかるコストも非常に高額となってしまうでしょう。高いコストを支払ってまで、その物件を所持し続けるのか否か、悩む人も多く見受けられます。
空室が多く、募集しても集まらない
築年数が一定以上経過している場合、見た目や設備の古さから思うように入居者が集まらないケースがあります。空室が多くなれば当然家賃収入も見込めず、経営状態が悪化してしまうでしょう。また、ローンの残債がある場合には、支払いが滞る恐れも高まります。
売却したいと思っても買主がなかなか見つからない
古いアパートの場合、いざ売却しようと思っても買主が見つかりにくいでしょう。物件の状態が悪ければ悪いほど収益性が見込めないほか、修繕コストもかさむと判断されてしまいがちです。日本では、新築や築浅物件の人気が高い傾向にあることも、こうした問題に拍車をかけています。
このまま相続したくない、させたくない
「古い賃貸アパートを家族に相続させたくない」と考えているオーナーさんも少なくありません。築年数が経過している場合、相続をしたとしても、残された家族がどう扱うか悩んでしまうケースが多いからです。
確かに、ローンを完済していれば建物自体は資産として残るでしょう。しかし、それ以上に修繕費がかさんでしまう恐れが否定できないほか、場合によっては相続後に経営が困難になるかもしれません。
2.古い賃貸アパート経営で悩んだ時の4つの解決策
古い賃貸アパート経営でよくある悩みについて紹介しましたが、ここからはその解決策について4つご紹介します。
① 経費見直し
古い賃貸アパートの経営が悪化している場合、まずは経費の見直しをすることから始めましょう。現在アパートにかけている保険プランの内容や、契約している管理会社など見直せるポイントがいくつかあるはずです。とはいえ、経費を一時的に削減したところで、資産価値が下がってしまっては元も子もありません。バランスを考慮しながら、手元に残すお金を少しでも増やすことが大切重要です。
➁リフォーム&賃料値上げ
古い賃貸アパートにリフォーム(あるいはリノベーション)を施し、入居者のニーズに見合った内装にするのも一つの手です。しかし、リフォームにはそれ相応のコストがかかるため、リフォーム費用を回収できる見込みがあるか、しっかりと見極める必要があります。
また、リフォームをしたことで物件の価値が向上したのであれば、賃料の値上げを検討するのもおすすめです。その際は近隣の競合物件の家賃相場を把握した上で、適正な家賃設定を心がけるようにしましょう。
③建て替え
ある程度手元の資金に余裕がある場合、アパートの建て替えを検討するのもよいでしょう。しかし、アパートが建っている位置するエリアに賃貸ニーズがなければ思うように入居者が集まらず、経営状態が苦しくなる可能性があります。立て替えには数千万円以上の費用がかかることから、入念な資金計画を立てることが大切重要です。
④売却
リフォームや建て替えが難しいと判断される場合、売却を視野に入れることをおすすめします。なお、売却には以下の2つの方法があります。
収益物件として売却する方法では、入居者はそのままの状態で、買主が所有者の立場を引き継ぐことになります。「オーナーチェンジ」とも呼ばれる方法で、買主にとってはすぐに家賃が回収できるといったメリットが見込めるでしょう。とはいえ、古いアパートの場合には買主がすぐに見つかるとは限らない点に注意が必要です。
一方、更地にしてから売却する場合には、土地の相場価格での売買となり、古い建物ごと売却するよりも高額になる可能性があります。またが、入居者がいる場合は退去いただく必要があります立ち退きが必要です。通知を出すことで退去してくれる入居者もいますが、立ち退きを拒否する入居者も多く立ち退きを拒否する入居者も多く、トラブルに発展するケースも少なくありません。
物件を売却する場合は周辺環境や入居者の性質状況も考慮に入れて、判断するようにしましょう。
3.アパートの売却にかかる税金
古いアパートを手放すのも一考とお伝えしましたが、アパートの売却には税金が課されます。どういった税金が発生するのか、一つずつ見ていきましょうチェックしていきましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、売却時に利益が発生した場合に納める税金のことです。また、譲渡所得税(住民税含む)の税率は物件の所有期間が5年以上か以下であるかによって以下のように異なります。
また、所有期間については不動産を売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判断します。物件を売却する前に、登記情報を確認しておくようにしましょう。
なお、相続をした建物を相続開始日から3年10か月以内のタイミングで売却した場合に限り、譲渡所得税が節税になる「相続税の所得費加算」という特例が適用されます。建物の売却るには一定の期間を要するため、もしこの特例を利用したいと考えるのであれば、なるべく早い段階で売却に向けて動き出すのが得策でしょう。
参考:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁
印紙税
譲渡所得税に比べれば少額ですが、印紙税についても触れておきます。
印紙税は経済取引で作成する文書に対して課税される税金を指し、税額は売買代金に応じて2千円から10万円です。課税される文書には契約書、領収書、手形などがあり、不動産売買の際に交わす売買契約書も印紙税の課税対象となります。
なお、売買契約の契約金額によって以下のように印紙税の金額が異なる点に注意しましょう。
※平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書は軽減措置で税額が低くなります。詳しくは「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁」にてご確認ください。
印紙税は売買契約書に必要な税額分の印紙を貼り、消印をすることで納税が完了します。もし相続した不動産を3,000万円で売却した場合、契約金額が3,000万円になることから、印紙税は2万円となるでしょう。
4.古い賃貸アパートを売却する2つの方法
古い賃貸アパートを売却する方法としては、以下の2つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仲介業者不動産仲介会社に買主を探してもらう
古いアパートを売却する方法の一つに、仲介業者と契約を結び、購入を希望する人の中から買主を紹介してもらう方法があります。後述する不動産会社に直接買い取ってもらう場合に比べ時間はかかりますが、なるべく高い価格で売却したいと考えている人におすすめの手段です。
不動産仲介会社に依頼するメリットとして、買主を探す手間がかからないことが挙げられます。一般的に不動産売買は高額の取引となるため、個人間で買主を探すのは非常に困難です。独自のネットワークを持つ不動産仲介会社であれば、買主が見つかる可能性が高まるでしょう。また、売買時の契約は非常に煩雑であり、プロに頼む方が安心できるほか、円滑に手続きが進むといえます。
一方で、買主との契約が決まった際は仲介会社に対して規定の仲介手数料を支払わなければならない点に注意が必要です。仲介手数料は国土交通省が定める報酬規程によって上限が決まっています。また、仲介手数料以外にも思わぬところで想定外の費用がかかり、売買にかかる総額費用が思った以上に高額になってしまったというケースも少なくありません。支払いのタイミングを把握しておくほか、手元にある程度の余裕資金を用意しておくことが重要です
不動産会社に直接買い取ってもらう
2つ目の売却方法は、仲介業者に頼まずに、賃貸アパートを不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。なかなか買主が見つからない場合をはじめ、スピーディーに売却したい人に適している手段です。
メリットとして、戸建て用地等にするために経営状態や建物の状態が悪かったとしても買取に応じてくれることがあるほか、プロが一連の手続きに対応することからトラブルになりにくいといった点が挙げられます。不動産会社に買取りを依頼する場合、売主が契約不適合責任を負わない特約をスムーズに結ぶこともできるため、万が一売却した後に建物や土地に不具合が判明したとしても、売主が責任を負わなくてよい場合もあります。
また、不動産会社が直接の買主となることで仲介手数料がかからないことも利点といえますが、中には相場よりも売却価格が2〜3割程度は安くなるケースも見受けられます。よって、不動産会社との面談時にしっかりと確認することが大切です。
5.アパートの売却はサンセイランディックへ
今回は、古い賃貸アパート経営で悩んでいる方に向け、解決策等についてお伝えしました。アパートの経営で悩んでいる方は一度、不動産会社に相談するのも一つの手です。建物の状況や管理はもちろん、経営状態に至るまでさまざまな観点からアドバイスをもらえます。
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